ろうけん宮前

 スズエさんの骨折入院により、デイ・サービス施設へのお泊りを余儀なくされた春治さん。1ヶ月の探索の末、漸く老健施設への入所が決まった。

この間、週一で訪ねた茶話本舗の春治さんは目に見えて衰えが増し、自立歩行も困難、顔を見ては堰を切ったように泣く。さぞかし辛かろう、寂しかろうと思うこちらが、切なさにやりきれなくなる。子離れ親離れをしなければならないのは判っているが、できない。情において忍びない。

連れ合いが買い物に行った先で負傷、そのまま入院・加療・リハビリ。その事実を何度聞かされても、すぐに忘れる。もう1ヶ月も会えていない。何故なのかも判らない。与えられた運命に従うしかないと思って、自分の全ての感情を抑制して、知らない他人の中でじっと日々耐えている。これを何ともしてあげられない。ほんとうに申し訳ないと思っています。

 

ろうけん宮前に移る前に、一度自宅に帰らせて上げたい。喜ぶ顔を見たい。ビールを一緒に飲みたい。

そう思っているのはこちらだけで、春治さんは、何も思っていないのかも知れない。退院してきたスズエさんと再会したら、きっと手を取り合って泣きあうだろう。でもそこからずっと一緒には暮らせない。人生って過酷です。家族の終末とは何だろう。

 

 

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